- エストロゲンは、出産後の授乳に向けて乳腺を増やす作用があります。
- プロゲステロンは、乳腺の先端にある乳腺葉という母乳を作り出す組織を発達させる作用があります。
妊婦さんの悩みの一つ!妊娠・出産で胸が垂れるのは予防できる!?
(2020.06.16 追記)
妊娠はとても嬉しいことですが、体形が大きく変わり、授乳後に胸が垂れてしまうのは妊婦さんにとっては大きな悩みです。なぜ、妊娠・出産を経験すると胸が垂れてしまうのか?
妊娠したからといって、美しい胸を諦める必要はありません!胸が垂れる原因をきちんと知れば、垂れるのを防止することができます。
今回は「胸が垂れる原因」と「妊娠中、出産後、授乳後にできる予防策」を紹介していきます。
妊娠・出産でバストはどう変化するの?
妊娠・出産後、バストのサイズが妊娠前よりも小さくなってしまったという話をよく耳にしませんか?
実は、バストのケアを何もしないでいると、サイズが元に戻るだけでなく、垂れて、ハリまでも失われてしまうのです…。妊娠すると女性のバストは2サイズから3サイズ大きくなるといわれています。
これは、女性にとってちょっと嬉しい変化ですが、その後、しぼんでしまうと思うと不安でいっぱいになりますよね。ここでは、妊娠・出産によって、バストのサイズが変わる理由をお話ししましょう。
妊娠すると女性のバストはどんどん大きくなっていき、スタイル抜群になったと嬉しくなりますよね。とても小さいバストサイズだったのに、巨乳といえるほど大きくなりびっくりする方も多いでしょう。
バストサイズの変化は、人によって個人差がありますが、ほぼ全ての方が2サイズ~3サイズ大きくなり、妊娠前に使っていたブラは合わなくなってしまいます。
大体、妊娠2か月から大きくなり始め、授乳が終わるころまで大きくなったままになりますが、これは妊娠によってホルモンバランスが大きく変化し、女性ホルモンの分泌が盛んになることが原因で起こるのです。
妊娠すると「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンの分泌が盛んになります。
この「乳腺葉」の発達に伴って、乳腺の周りには脂肪がたくさんつくようになるため、バストのサイズがアップするのです。
出産した後、この2つの女性ホルモンの分泌は減少しますが、今度は母乳を作るホルモンである「プロラクチン」というホルモンが分泌されるようになるので、バストがしぼんでしまうことはありません。また、出産後の授乳は乳腺を刺激しバストに母乳を蓄えますので、いっそうバストサイズが大きくなるのです。
妊娠してから授乳が終わるまで大きかったバストは、授乳後しぼんでしまいます。授乳を終えたお母さんは以下のような変化を感じるでしょう。
- バストがしぼんだ
- バストが垂れてしまった
- 妊娠前よりもバストがサイズダウンした
これらの変化の原因はいくつかあります。
妊娠してから出産までは、乳腺を発達させる「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンの分泌が盛んになりますが、出産後は一定期間、生理が止まることでもわかるように「エストロゲン」の分泌は減少します。そして、授乳が終わるまでは母乳を作り出す「プロラクチン」の分泌が盛んになるため、バストのサイズは大きいまま維持されています。
ところが、授乳を終えると、赤ちゃんがおっぱいを吸う時の「乳腺の刺激」がなくなり、母乳が作られなくなります。そうなると、乳腺自体も組織が減少しますし、乳腺の周りについていた脂肪も減っていきます。結果的にバストはサイズダウンしてしまうのです。
さらに、バストの組織の一つである「クーパー靱帯」は、発達した乳腺や増加していた脂肪を支えるのに伸びてしまい授乳後のバストを支えることができず、バストが垂れてしまいます。また、伸びてしまった皮膚はハリを失ってしまうのです。
こうしたいくつもの要素が合わさって、バストがしぼんだり垂れてしまったりするのです。
妊娠・出産・授乳でバストが垂れる原因
妊娠してから授乳が終わるまで「ハリがあって大きくなったバスト」が、授乳後には、しぼんで垂れてしまうなんてとても残念に感じますよね。
このバストの垂れを予防するためには、まず「垂れる原因」をしっかりと把握しておきましょう。そうすれば、垂れを予防する手段が見えてくると思います。
「授乳後、バストが小さくなる訳」でもお話しさせて頂きましたが、バストが垂れる原因についてもう少し詳しくご紹介させて頂きます。
赤ちゃんに母乳をあげる時の体勢を思い浮かべてみてください。
「座って抱きかかえて飲ませてあげる」のが一般的ですが、夜中の授乳の場合は「添い寝をしたまま」の方も多くいらっしゃいます。どちらの体勢でもバストは赤ちゃんのおっぱいを吸う力によって、下や脇の方向に引っ張られています。
特に初めての出産の時は、乳首の乳腺の開きが悪いこともあり、赤ちゃんは一生懸命乳首に吸い付いてきます。個人差はありますが、このような体勢を1年前後続ける訳ですから、皮膚もクーパー靱帯も常に引っ張られ、次第に伸びてしまうのです。
妊娠前は、ブラジャーでバストを支えることもできましたが、妊娠中から使用している「マタニティブラ」や「授乳用のブラ」は、締めつけられることがなく楽な反面、バストを十分に支えることができません。また、皮膚やクーパー靱帯に負担がかかるだけでなく、大きくなったバストの脂肪が脇や背中に流れやすくなってしまうのです。
バストは、3つの組織でできています。
- 乳腺
- 脂肪
- クーパー靱帯
乳腺と脂肪を束ね大胸筋や皮膚につなげてバストを支えている重要な繊維組織です。コラーゲンでできており、バストの形やハリを保つのに欠かせない組織です。
しかし、クーパー靱帯は「衝撃」や「重力」に弱く、ブラジャーで保護してあげたり周りの筋肉を鍛えたりして負担がかからないようにする必要があります。妊娠に関わらず、もともとバストの大きい方が垂れやすい傾向にあるのは、普段から大きいバストを支えるためにクーパー靱帯に負担がかかっていることが原因です。
妊娠初期から大きくなったバストは授乳を終えるまでの約2年もの間、このクーパー靱帯に大きな負担をかけ続けているのです。クーパー靱帯は、一度伸びたり切れてしまったりすると元には戻りません。
クーパー靱帯が伸びたり切れたりする時に痛みがあればわかりやすいのですが、痛みを感じることがないため、知らず知らずのうちにバストが垂れてしまうのです。妊娠から授乳を終えるまでは、乳腺の発達で気づかなかったクーパー靱帯の損傷は、授乳を終えてからしか気づくことができません。
もともとバストが小さかった方は、授乳後にバストが垂れることはあまりないようですが、それでも妊娠前よりバストサイズがダウンしたり、形が悪くなってしまったりするのは、このクーパー靱帯の伸びが原因である可能性が高いのです。
妊娠初期から授乳を終えるまで、バストのサイズが2サイズから3サイズアップするということは、バストの皮膚もかなり伸びてしまっているということです。妊娠中、大きくなったお腹に妊娠線ができることはご存じだと思いますが、バストにも妊娠線ができることをご存知でしょうか?
妊娠によって大きくなっていくお腹やバストのサイズ変化の速さに、皮膚の伸びが追いつかず、皮膚がひび割れを起こし赤くミミズ腫れのような線ができてしまうことです。
バストにできる妊娠線は「授乳腺」と呼ばれることもあります。一度伸びてしまった皮膚は、なかなか元には戻りません。
クーパー靱帯が伸びるだけでなく、皮膚まで伸びてしまうと、デコルテまで貧相になってしまいます。痩せてハリのないデコルテは、決して健康的・魅力的なバストとはいえず、バストの垂れをいっそう目立たせる結果となってしまうのです。
バストが垂れるのを予防する方法
授乳後にしぼんでいってしまうバストは、何も対策をしなければどんどん垂れ下がってきてしまいます。そこで、原因ごとに対策をすることで垂れるのを予防することができます。
どんなことも早めの対応が大切ですが、バストの垂れ防止は妊娠中から行うことが効果的です。妊娠したから後々垂れるのは仕方がないということはありません。
妊娠中、授乳中、授乳後にできる対策をそれぞれご紹介します。
妊娠中にどんどん大きくなっていくバストですが、この急激なサイズ変化がバストの垂れの原因になります。出産が終わると、子育てに時間を費やすことになり、自分のことにはなかなか時間を作れません。
そう考えると妊娠中の時が一番、自分のことに時間を割ける時ともいえますが、この妊娠中の対策で垂れを防止することは可能です。妊娠中は赤ちゃんへの影響から、激しい運動やマッサージ、乳腺を刺激するようなことはできませんので、ブラジャーの工夫をしてみましょう。
マタニティ用品売り場には、様々なタイプの「マタニティブラ」が販売されています。マタニティブラは伸縮性がある素材で作られていて、日増しに大きくなっていくバストにフィットするようにできています。
肩に負担がかからないように太めのストラップになっているものが多いですね。マタニティブラの種類は3つありますので、その日の過ごし方や体調で使い分けるようにしましょう。
スポーツブラをゆったりさせたようなハーフトップは、圧迫感がないので、体調の悪い時や家でリラックスしたい時におすすめです。
妊娠中から出産後まで、時期を選ばずに着用でき、バストの形もキープできるのがノンワイヤーのブラジャーです。
もともとバストサイズが大きかった方には、ハーフトップよりもホールド力があるのでおすすめです。
妊娠中でもバストの形をキープしておきたい方は、ワイヤー入りブラジャーを選びましょう。
マタニティ用のワイヤー入りは柔らかい素材でできているので、比較的圧迫感なく快適に着用できます。
出産後は、育児に追われ24時間気を抜けない日々が続き、バストケアなんて考えられない状況になってしまうと思われます。けれども、そんな中でもできる対策があります。
まずは、妊娠中と同じようにブラジャーを工夫しましょう。出産が終わったといっても、これからの授乳のためにバストは大きくなったままです。妊娠前に使っていたブラジャーはサイズが合わないため、無理な締めつけにより、乳腺が圧迫されて母乳の出が悪くなることもあります。
授乳用のブラジャーは、妊娠中と同じようにハーフトップ、ノンワイヤー、ワイヤー入りの3種類があります。出産後は、赤ちゃんとお出掛けすることもありますので、自宅用と外出用で使い分けるのがおすすめです。
授乳中にできる垂れ対策で特におすすめなのが「バストマッサージ」です。産後のマッサージは、バストの垂れ防止だけでなく、母乳を詰まらせず出やすくする効果も期待できます。
授乳中のバストマッサージは、基底部のマッサージと乳首部分のマッサージがあります。
基底部とは、バストの土台のことです。
母乳は血液を元に乳腺で作られ、乳管を通り、乳管洞に溜まっているものが、赤ちゃんの吸う力で乳首の乳口から出てきます。
乳腺に運ばれる血液は、この基底部を通っているため、基底部のマッサージを行って血流を良くすると母乳の出が良くなるのです。
血液の循環を良くするためバストアップの効果も期待できます。
赤ちゃんが吸いやすくするために、乳首を柔らかくするためのマッサージです。
乳首が刺激されると女性ホルモンの分泌も盛んになりますからバストアップ効果も期待できます。
授乳が終われば、本格的に垂れ対策を行えますが、授乳直後は様子を見ながら行った方がいいでしょう。まずは「育乳ブラ」や「ナイトブラ」で形が崩れるのを防止しましょう。
授乳が終われば、普通のブラジャーを使うことはできますが、授乳を終えたばかりのころのバストは、大きいままなので妊娠前のブラジャーではサイズが合いません。サイズの合わないブラジャーは、バストアップに効果的といわれる「育乳ブラ」や「ナイトブラ」であっても、効果は期待できません。
マタニティブラをやめるタイミングでバストのサイズを測り直し、その時のサイズにあったものを着用しましょう。また、着用時は正しい着用方法を守ることも大切です。
- 肩ひもを両腕に通す
- 前屈みになって、バストのふくらみにカップ部分を当てる
- 前屈みのままホックを留め、背中や脇の脂肪やお肉を集めてカップにおさめる
- 体を起こしてカップの位置を整える
- 鏡でブラジャーのアンダーラインが体一周、並行になっているか確認する
着用後は、脇やお腹に脂肪やお肉がはみ出ていないか確認することが重要です。自分の感覚だけで着用すると意外とはみ出たままになっていることが多く、それではせっかくの育乳効果が台無しです。
今までは何の気なしに着用していた方も、この機会に正しい着用方法を身につけ、垂れ防止するだけでなく、形の整ったバストを目指しましょう。
授乳後は育乳しましょう
赤ちゃんの授乳を終えるタイミングは人それぞれです。
お仕事をされているママなど母乳だけでの育児が難しい方はすぐに育乳を始められます。
しばらくは溜まった母乳や発達した乳腺でバストが張ることがありますので、バストの張りが落ち着いてから育乳を始めるようにしましょう。
それでは、授乳後の育乳方法について紹介します。
授乳が終わったといっても育児は、まだまだ大変な時期です。無理をせず比較的簡単にできる育乳方法をご紹介します!
赤ちゃんの育児では、授乳時はもちろんですが、おむつを替えたり寝かしつけたりと姿勢が悪くなる動作がたくさんあります。
姿勢の悪い猫背という状態は、血液の流れまで悪くしてしまうので、バストアップには大敵なのです。猫背はバスト周辺の筋力も低下し、垂れの原因にもなります。
姿勢を正せば血液の流れが良くなりバストアップに必要な栄養素を届けることができますし、血行が良くなることで女性ホルモンの分泌も良くなります。意識して姿勢を正すようにしてみましょう。
ハリのあるふっくらとしたバストを作るには、良質なたんぱく質と女性ホルモンの分泌を促す食品をバランスよく摂取しましょう。
おすすめの食品は「大豆製品」です。大豆製品に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをすることで有名です。
他には「たんぱく質」の摂取ができる食品も重要です。乳製品や鶏肉に多く含まれています。また、女性ホルモンを活性化させる「ボロン」という成分が含まれたキャベツ、コラーゲンを多く含んでいる鶏皮やゼラチンはクーパー靱帯の保護にも役立ちます。
赤ちゃんとの遊びを兼ねてトレーニングを行えば、育児も楽しくできますね。
ひじを軽く曲げた状態で両脇をしめて赤ちゃんを抱きあげ、そのまま上げたり下げたりします。高い高いのように高く上げる必要はなく、ゆっくり上げ下げを行うことで大胸筋が鍛えられます。
授乳期間が終わるころには赤ちゃんの夜泣きも落ち着いてきますが、個人差があるのでゆっくり睡眠が取れないかもしれません。
良質な睡眠は、成長ホルモンや女性ホルモンの分泌を活発にします。ゴールデンタイムといわれる22時から翌2時までの間は、熟睡できるように生活リズムを整えましょう。
ストレスは女性ホルモンの分泌を抑制する作用があります。赤ちゃんとの生活を楽しめるように工夫し、ストレスを溜めない生活を送るようにしましょう。
垂れ対策で気を付けること
バストの垂れは妊婦さんにとっては深刻な悩みかもしれません。実際、何もしないでいると垂れてしまう可能性が高まります。
だからといって垂れを防止するために、妊娠中にできることは何でもやろうと頑張りすぎると、胎児に影響を与える可能性もあり、デリケートな産後に方法を間違えると逆効果になってサイズダウンしてしまうこともあります。
そんなことにならないためにも、垂れ対策を行う上で気をつけたいポイントをお話しします。
妊娠中から垂れ防止を行うことはとても大切ですが、やり方によってはお腹の赤ちゃんに影響が出てしまう危険があるので注意が必要です。
出産後にバストが垂れる原因に「大胸筋の衰え」があるため、妊娠中に大胸筋を鍛えておくのはいいのですが、頑張りすぎるとお腹に力が入ってしまう可能性があります。お腹に無理な力が入ってしまうと、子宮が収縮し赤ちゃんを危険にさらすことになりかねません。
大胸筋のトレーニングを行う時は、大胸筋を意識してお腹に力が入らないように注意しましょう。また、妊娠中はバストがとても敏感になっています。
特に妊娠初期にバストを刺激すると「オキシトシン」というホルモンが分泌されますが、このホルモンは子宮を収縮させる作用があり、お腹の張りが起こり流産や早産になる可能性があるのです。マッサージを初めてもいい時期は個人差がありますので、必ず主治医に聞いてから行いましょう。
出産後は赤ちゃんのお世話で大忙しですから、垂れ予防のために必要な栄養素を摂りたくても、なかなか自分のことに手が回らないと思います。そんな時に便利なのが「サプリメントの摂取」です。
ただ、注意してください!
栄養摂取のためにサプリメントを利用するのは問題がないのですが、最近では様々なバストアップサプリが販売されていて、垂れ防止のために購入したくなると思います。でも、出産後の女性の体は、ホルモンバランスが乱れてしまっている状態です。
そこに女性ホルモンの分泌を促すようなサプリメントを摂取すると、さらにホルモンバランスが乱れてしまい、逆効果になる可能性があります。バストアップサプリの服用はホルモンバランスが整う授乳を終えてからにしましょう。
もう一つ気をつけたいのがマッサージです。マッサージをやりすぎた場合、脂肪が燃焼されてしまいバストアップどころかサイズダウンする可能性もあります。
マッサージを行う時は、力を入れずに血行やリンパの流れを良くする目的で優しく行いましょう。
まとめ
妊娠によって驚くほど大きくなったバストは、何もしなければ授乳後にしぼんで垂れてしまいます。バストが大きくなる理由と授乳後に小さくなってしまう原因を知って妊娠中から対策を行えば、バストが垂れるのを予防することができます。
妊娠がわかったら、無理をせずできることから対策を始めましょう。また、育児で大変な時も工夫して楽しくできる「垂れの予防対策」を行い、魅力的なバストを維持しましょう。
この記事の執筆者
佐藤 由加里 バストアップ専門エステサロン「p-Grandi」チーフエステティシャン。マッサージ、医療脱毛・医療痩身・フェイシャル、総合痩身エステの施術などを習得したバストアップ専門家。プロフィール |